寄席に行くとほとんど毎回出てくるのが「笑うのは健康にいい」という話だ。まあそうなのだが、話を聞いている客席は、高齢者が多いこともあってか、けっこう眠っていたりする。これも健康にいいのだろうな、などと思って知り合いの江戸っ子にこの話をしたら、大真面目にそのとおりだと言われた。
落語どころか伝統芸能はすべて健康にいいそうだ。なぜならよく眠れるから。とりわけ健康にいいのは「能」だという。優れた「能」はリラクゼーション効果が高いため、脳波をベータ波からアルファー波に転ずる作用があり、このアルファー波が眠りを誘っているというわけだ。したがって眠いときはいい「能」なのだから堂々と眠っていいとこの江戸っ子はいう。何だか嘘くさい。本当にそうなのか。
どんなときに寄席で眠るのか考えてみた。
つまらなくて眠ってしまうケースが大半だが、中には面白いのに眠ってしまうこともあることに気づいた。いつも同じ落語家だ。面白いのだが最後まで聞いたことがない。この落語家の声色とか話しのリズムが心地よいのか、まるで子守唄を聞くようにして、いつの間にか寝入ってしまうのだ。
これはアルファー波のせいではないか。
もしそうであればこの落語家は心身ともにリラックスさせる力があることになる。落語を聞いてもらえないけれどリラックスはさせてくれるわけだ。落語家は悩むかもしれないが、健康にいいのは間違いない。
寄席には笑いあり、(ほろっとする人情噺で)涙あり、そしてアルファー波?睡眠もありだ。流行りのことばで言えば「笑活」「涙活」「眠活」のすべてがそろっている。寄席に行けば、心身ともにリフレッシュできる。
健康にいいのは間違いない。
都内寄席ガイド
鈴本演芸場(上野)http://www.rakugo.or.jp/
浅草演芸ホール(浅草)http://www.asakusaengei.com/
新宿末廣亭(新宿三丁目)http://www.suehirotei.com/
池袋演芸場(池袋)http://www.ike-en.com/
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