コラム(江戸魂千夜一話)

青山富有柿プロフィール
かわら版指南。趣味は読書と散歩。好きな食べ物はお蕎麦。
江戸東京下町文化研究会会員。

江戸魂千夜一話概説
 江戸時代の庶民生活には何かとてもいい雰囲気があったような気がしています。そこには生活のためのいろんな知恵がつまっていたのではないかと思います。時代の変遷を繰り返すうちに、そのよさがだんだんと失われつつあるとはよく言われることですが、探せばまだまだたくさんあると思っています。 
  このエッセイでは、江戸のよさを感じさせてくれるような、おもしろいエピソードをたくさん探し出してきて、簡潔にわかりやすく紹介していきたいと思っています。

►CONTENTS
第一話「寄席は健康にいい」
第二話「ボーイズバラエティ協会」
第三話「酉の市(とりのいち)」
第四話「江戸っ子気質(かたぎ)」
第五話 「野暮(やぼ)はだめ」
第六話「天ぬき」
第七話「負けずぎらい」
第八話「寄席で地震」
第九話「落語をやらない落語家」
第十話「ほおずき市」
第十一話「隅田川花火大会」
最終話「江戸時代のこどもたち」
第四話「江戸っ子気質(かたぎ)」

 ウィキペディアによれば江戸っ子とは「江戸古典落語などでは、『山王権現、神田明神の信者(氏子、檀家)』『古町に生まれた者』『親子3代にわたって江戸下町に生まれ暮らした町人』などとされている」とある。
その特徴については「『金離れが良く、細かい事にはこだわらず商売下手、意地っ張りで喧嘩早く、駄洒落ばかり言うが議論は苦手で、人情家で涙にもろく正義感に溢れる』・『粋(いき)でいなせ』」とあり、これを称して江戸っ子気質(かたぎ)と言う(何れもウィキペディアより抜粋)。
ちなみに「粋とは「きっぷ、容姿、身なりなどがさっぱりとして、洗練されていて、しゃれた色気があること」、いなせとは「威勢がよくさっぱりとしてきっぷがいい」という意味だ。
江戸っ子と聞いて真っ先に、東映時代劇の黄金時代に一世を風靡した、故萬屋錦之助(当時は中村錦之助)が演じた「一心太助」を思い浮かべる人はもう少ないかもしれない。あとは昨年惜しまれながら亡くなられた歌舞伎の故中村勘三郎師匠くらいか。
他にも探せばきっといると思うのだが、なかなかイメージ通りの江戸っ子にはお目にかかれない。身近にひとりぐらいいてもおかしくないのだが、それらしき人はいない。いったいどこへ行ったら江戸っ子らしい江戸っ子に会えるのか。
毎年、酉の市にいっしょに出かける江戸っ子はどうか。上記のウィキペディアをもじって言うとこうなる。
「金離れはいいかもしれないが残念ながら金がない、どうでもいいような細かいことにこだわる(特に蕎麦と祭りにはうるさい)、商売下手である、意地っ張りでもないし喧嘩は嫌い、駄洒落は言わない、議論は苦手というよりも嫌い、人情家だが涙もろいわけではない、正義感は普通、本人は粋だと思っているがいなせではない」。
残念ながら「商売下手」と「議論が苦手な人情家」くらいしかあてはまらない。
時代が違うと言ってしまえばそれまでだが、現代においてこの定義は、ちょっとハードルが高すぎるような気がしないでもない。
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 閑話休題。

ここまでは男性の江戸っ子のことだけ取り上げてきたが、当然女性の江戸っ子もいる。その特徴は「ざっくばらんで世話焼き、きっぷが良くて誰に対しても言いたいことをはっきり言う」といったところ。
こうゆう女性はときどき見かけます。

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