寄席は毎月十日ごとに出演者と演目が入れ替わる。上席(かみせき1〜10日)中席(なかせき11〜20日)下席(しもせき21〜30日)という。31日まである月は1日余ってしまう。この日はどうしているのか。
実は「余一会」と呼ばれる特別興業が行われている。
寄席通の江戸っ子によれば、なかでも新宿末廣亭で開催されているボーイズバラエティ協会主催の余一会が面白いらしい。
名称は「ボーイズバラエティ寄席」「ボーイズバラエティ大会」「ボーイズバラエティ大行進」と毎回微妙に変わるのだが、何れもボーイズバラエティ協会の精鋭が結集して日頃の腕を競い合う、寄席版運動会のような催しらしい。毎回開場前から行列ができるほどの大盛況のようだ。
ところでボーイズとは何か。
ウィキペディアによれば「ボーイズとは、演芸の一種で、楽器を使用した音楽ショウ。漫才師の行う音曲漫才や、コミックバンドが演ずる音楽コントとは異なる、独特の形態を持つ〜中略〜1937年に浅草公園六区の浅草花月劇場(吉本興業直営)における演目「吉本ショウ」で、あきれたぼういず(東京吉本所属)が行ったのが端緒である。この伝統を受け継ぎ「ボーイズ」の名は主に東京芸界で用いられる」とある。あきれたぼういずから今年で85年、その歴史は古い。
残念ながら時代の流れには抗せず現役のボーイズはめっきり減ってしまった。ボーイズバラエティ協会の会員も今ではコント、漫才、漫談、ものまね、マジック、ジャグリング、紙きり、つがる三味線、歌手など多士済々だ。(下記ホームページをご参照ください)。
31日に話をもどすと、当日の観客席はほとんど関係者で埋め尽くされるらしい。関係者と言っても、要するに家族だったり、出演者行きつけのスナックのママさんだったり。お目当ての芸人さんが出てくると、拍手喝さい大笑いの連続で、大いに盛り上がるのだそうだ。
先の江戸っ子によれば、大笑いに含まれた「がんばれ」が個々の芸人さんの人生ドラマを感じさせ、ほろっとするらしい。
そこには笑いだけではないペーソスがある。
江戸の魂はここにもあった。
*ボーイズバラエティ協会 http://bo-vara.com/
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