別巻２：「鉄舟」を歩く - 江戸東京下町文化研究会

	ほしひかる著ほしひかる氏プロフィールエッセイスト、江戸ソバリエ認定委員長 (江戸ソバリエ協会理事長) 著書・共著に「江戸蕎麦めぐり」（幹書房）、『新・神奈川のうまい蕎麦６４選』（幹書房）、『埼玉のうまい蕎麦７５選』（幹書房）、『静岡・山梨のうまい蕎麦８３選』（幹書房）、『休日の蕎麦と温泉巡り』（幹書房）、『至福の蕎麦屋』（ブックマン）、『小説から読み解く和食文化』（アグネ承風社サイエンス）など。他に、「解体新ショー」（NHK-TV)、「江戸のススメ」（ＢＳ－ＴＢＳテレビ）、「幸福の一皿」（ＢＳ朝日テレビ）、「コレスタン」(日本テレビ）、「シルシルミシル」（テレビ朝日）などや各講演会に出演。ネットでは江戸ソバリエ協会、江戸東京下町文化研究会、フードボイスなどに発信中。これまでの活動により、各関係団体より感謝状を授与される。 ▲NPO 江戸ソバリエ協会

第二巻山岡鐡舟､命懸　　　　　

☆山岡鐡舟(1836～1888)
山岡鐡太郎。本所に生まれる。父小野朝右衛門高、母塚原磯(先祖に塚原ト伝)。幼少から神蔭流、北辰一刀流、浅利義明の門下となり、維新後は無刀流の開祖となる。
幕臣として清河八郎と共に浪士隊を結成。江戸無血開城に深く関与。明治政府では静岡藩権大参事、茨城県参事、伊万里県権令、侍従、宮内大丞、宮内少輔を歴任。
1882年(明治15年)、16代徳川家達は無血開城の功として鐡舟に名刀「武蔵正宗」を贈与した。

別巻２：「鉄舟」を歩く

◎鐡舟生誕の地 (1836年～)
東京都墨田区亀沢4-11-15 竪川中学校正門辺り (JR錦糸町駅より)

◎高橋泥舟、山岡鐡舟　旧居跡
東京都文京区小石川5-1-8～11 (地下鉄茗荷谷駅より)

いま桜の名所になっている播磨坂に面した所に山岡家があった(1811年ごろから) 、現在はマンション。高橋家はその裏にあった(1720年ごろから)。

◎薩摩屋敷跡、西郷隆盛･勝海舟会談跡の碑
東京都港区芝5-33-1三菱自動車ビル (JR田町駅より)

◎三舟の書がある「虎ノ門砂場」
東京都港区虎ノ門1-10-6（地下鉄虎ノ門駅より）

◎鐡舟が贔屓にしていた蕎麦屋「吉田家」
東京都品川区東大井2-15-13（京急線立会川駅より）
創業1856年(安政3年)、店の前の道が旧東海道。

◎鴬谷に「鉄舟庵」という蕎麦屋があったが、今はない。
　「鉄舟庵」の看板は、鉄舟会が譲り受け大事に保管している。

◎割烹旅館「二葉」の「忠七めし」
埼玉県小川町大塚32 (東武東上線小川町駅より)
「二葉」は、創業1748年(寛延元年)。
　8代目忠七が、「山葵、柚子、晒し葱」をのせて秘伝のつゆをかけ、お茶漬けのようにさらさらと食べる「めし」を開発し、それに鐡舟が「忠七めし」と名付けた。
　鐡舟の父である旗本小野家は現小川町の一部が知行地であり、また書に用いる小川村の和紙を求めて、時折当地を訪れていたという。
　二人の合作による「忠七めし」誕生は1868年(慶応4年、明治元年)のころだった。14代目八木忠太郎さんの話によると、「そのころは近辺でも山葵が栽培されていたし、柚子や葱も当地の産だった。海苔も近くで採れた川海苔だっただろうが、今は鐡舟とゆかりの深い山本海苔を使用しているとのこと。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【二葉：鐡舟書】

　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【忠七めし】

◎山本海苔
東京都中央区日本橋室町1-6-3 (地下鉄三越前駅より)
1869年、明治天皇が京都行幸の折、鐡舟が手土産の相談を受けたのを機に交流のあった山本海苔店2代目徳治郎が味付海苔を発明する。

鐡舟揮毫による商品「無双佳品」(これに勝るものは存在しないと見極めたひと握りの品という意味)、販売時期は4月中旬頃、限定商品。写真：山本海苔店提供。

◎鐡舟が屋号の大看板を揮毫した「銀座木村家」
東京都中央区銀座4-5-7 (地下鉄銀座駅より)
1875年、吉野山から取り寄せた八重桜の花弁の塩漬けを埋め込んで焼き上げた餡パンが鐡舟に届けられ、鐡舟はそれを明治天皇の食卓に供した。
大看板は1888年に書き残したもの。