本教寺(ほんきょうじ)は、 1611年(慶長16年)、日安によっ 開山された。かつては「東山本 染寺」と称していたが、1907 年(明治40年)に浅草の「本立寺」 を合併し、「妙学山本教寺」と称 した。 豊島区にある日蓮宗 (顕本 法華宗)系の単立寺院である。
本教寺の門を入り、すぐ右側に 江戸時代の中期の俳人である服部嵐雪の墓がある。如何にも優雅な 俳人らしく柴垣の中にひっそりと ある。
嵐雪は承応3年(1654) に淡路の生まれとも江戸湯島に生まれ たといわれる。幼名は久馬之助、俗 称を孫之承。次いで彦兵衛に改め た。新庄隠岐守、 井上相模守に仕え たがのちに仕を辞し済雲和尚に従 禅を学ぶ。
延宝3年頃に榎本其角とともに芭蕉の門に入り、俳句一途に精進したと言われる。黄落庵、石中堂、寒 寥堂、雪中庵、不白軒、玄峰堂などの号がある。 其角とともに芭蕉門下の双璧という時代も作った。 豪放な其角に対して嵐雪は温雅。 例えば、妻の死後に彼女の長年の夢であっ京都寺社への旅を、亡き妻に代 って果たしたということからも嵐雪の人柄を想像できる。
芭蕉の死後、其角と江戸俳壇を 二分し、門下に有名な俳人を多く輩 出。著書には「其袋」(そのふくろ) 「或時集」(あるときしゅう) 「杜撰集」(ずさんしゅう) 「若水」(わかみず)がある。宝永4年(1707) 10月13日、50歳で没した。 初め本郷 駒込の常験寺に葬り、大正8年に改葬された。
▲雑司が谷 いろはかるた 絵と文: 矢島勝昭
「ら」の札に「嵐雪は芭蕉の片腕本教寺」 とある。
「黄菊白菊そのほかの名はなくもがな」
嵐雪は、この句でゆるぎない地位を 築いたといわれる。
▲辞世の句
「一葉散る咄一葉散る風の上」と
墓碑に彫られている
横には嵐雪の妻の墓
(雪中院浄白妙悟信女) がある。 元禄12年己卯9月3日没年だろう
取材協力：豊島区立郷土資料館 （『豊島の選択』より加筆転載）
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