大正時代の遺構発見～富士フイルム設立に繋がる「東洋乾板株式会社」～その二

	吉田枯露柿氏プロフィール昭和29年東京は麹町生まれ。国立劇場が出来る前、まだ、原っぱで、そこで、おままごとをした記憶が強く残っている。 6歳で文京区小石川に越す。日本女子大学文学部を卒業後、サンケイリビング新聞社に勤務。平成16年3月独立し、フリーランスで単行本取材・執筆を始める。株式会社『吉田事務所』を設立（平成19年5月）。豊島区では平成23年、地域情報誌『豊島の選択』創刊とともに取材・編集。また中央図書館専門研究員として地域文化講座（戦後闇市・映画館など）の企画する。ＮＰO法人「としまの記憶」をつなぐ会を設立（平成24年7月）。副代表理事。第二次世界大戦・戦前戦中戦後の記憶を持つ語り部の「記憶の遺産」として動画編集をする。地震をテーマにした童話「なまずの太郎大冒険」(平成29年11月)上梓。 ▲ブログ http://www.ichiko.tv/

大正時代の遺構発見
～富士フイルム設立に繋がる「東洋乾板株式会社」～その二

関東大震災から100年を迎える令和5年
大正12(1923)年9月1日正午2分前に発生した関東大地震 (マグニチュード72と推定)、近代化した首都圏を襲った唯一の巨大地震である。南関東から東海地域に及ぶ地域に広範な被害が発生し、電気、水道、道路、鉄道等のライフラインにも甚大な被害が発生した。
　この地震から今年はちょうど100年目にあたるが、雑司ヶ谷の東洋乾板も甚大な被害を蒙った。
写真史研究家・梅本貞夫氏の「東洋乾板回想記」には「時恰かも襲来したのが、大正12(1923)年9 月1日の関東大震火災であった。そのため乾板工場は、大損害をうけた。各所亀裂を生じ、諸材料に狂いが起って、その上、原料硝子、薬品を始め多量のストック乾板は、粉砕し散滅したのである。その欠損は、投下資本の過半以上に上って致命的大打撃を受けた。」と書かれてある。遺構の写真から考えられるのは、乾板や実験道具がまとめて捨てられているようであり、震災後に壊れたものを集めて捨てたのではないか　?　という可能性である。

▲上空からの写真

研究所の奥に、新工場、その奥に、旧工場があるが旧工場のあたりは、既に、都市計画道路で開発済みで今回の遺跡調査区域から外れている。
※現在は「南池袋二丁目C地区市街地再開発組合」が高層ビル2棟を建築中であり、2025年には47階と2階のツインタワーが完成し、そこには公共施店舗住宅事務所が入る予定である。