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浮世絵には、子どもをめぐる江戸文化のあり方を伝えてくれる作品が少なくない。 美人画、役者絵、風景画を代表的主題として認識することの多い浮世絵が、子どもを題材とした浮世絵もまた重要な分野であり、大きな需要があったことは特筆。 親は子を宝として守り育て、ふれあいを大切にし、心づくしの玩具や屋内外での遊びの機会を与えた。 一方で、寺子屋での学習や諸芸の稽古事にも熱心で、江戸の子どもたちは十分な教育を受けていた。 注目すべきことは、これらの子どもを巡る光景がありきたりの日常であったにも関わらず、絵の主題となり それを購買する人が多くいた。幕末・明治期に来日した多くの外国人が、日本の子どもが非常に大切にされ、 幸福そうにしていることを印象深く書き残し、日本を「子どものパラダイス」とさえ評している。子どもたちを無条件に愛し、守るべき愛らしい存在として描いてきた浮世絵は、美術的価値ばかりでなく、親が子どもを守り育てる本来のあり方を示してくれている。 本展覧会では、I子どもへの愛情、II子どもの成長を願う、III江戸は教育熱心、IV 遊び好き・いたずら好き、 V キッズ大行進―やつし絵・見立絵―、VI 子どもの好きなお話、という6つのコーナーに分け、 公文教育研究会所蔵の子ども浮世絵コレクションを中心に約300点を展示。
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